暮らしのこと農のこと

自然と身(み)

海の近い我が家では台風一過はいつも家中庭中に水まきすることからはじまります。
先日の台風も塩害の影響が強くて、家の窓も車も塩でべたべたでした。

家屋が壊れる被害はなかったものの、畑のダメージは深刻です。
植え付けしたばかりの秋冬野菜の苗は全滅、ブルーベリーは二度散水して塩を洗い流したものの、葉が一瞬で茶色くなってしまいました。
幸い枯れてはいないので、このまま冬を越してまた春に芽をだしてくれることを祈ります。

内陸の農家さんにも被害が出たようで、秋冬野菜の植え直しやはざ掛け(お米の天日干し)をやりなおさなくてはいけないところも多かったようです。
現代農業では自然害に打ち勝つために、大規模化・機械化・工業化が進んでますが、南房総では小規模農家さんがまだまだ多いです。
自然豊かなこの土地は、その分自然からの害も受けやすくなります。
そんな地域で昔ながらの小さな農を営む農家さんの暮らしには、自然環境に対しての知恵と工夫が凝らされていて勉強になります。

でもそんな暮らしのことを質問しても、大抵の場合はそんなものは当たり前だと言われます。
頭で考えたものではなく、文字通り長年の暮らしのなかで自然と身についたものなんでしょう。
外から知ろうとする者にとっては職人に弟子入りして技を見て盗めと言われている心境です。

移住したての頃はついつい先に頭で考えようとしまって、なかなか理解できないこともありましたが、5年も経つと自分の頭と身体もだいぶ農的になってきたように感じます。
そしてある時、農と家と人には共通する考え方があると気付きました。

ざっくり言うと昔ながらの農法と家づくり、人の考えは自然に対して負けることを前提としているんだということ。
でも実は負けているように見せている。
負けたように見せて勝つ、負けを利用するという考え方なのかもしれない。

一方で現代の暮らしは、自然と戦うという考え方なんだと思います。
昔も戦っていたのかもしれないけど、今では戦う力がなかった時代では考えられなかった事が出来るようになってきた。
すっかり戦って勝つという考え方が当たり前になっている気がします。

でもここ最近の気候変動や自然災害をみていると、あらためて自然と正面から戦うには相当な力がいるんだと感じました。
戦う力が弱くなってしまったり、自然の力が予想を超えたり、力負けしてしまった時と考えると、今後勝つこと前提では成り立たないことが多くなってくるんだろう思います。

今さら昔暮らしに戻ることは難しいし、戻る必要もないけれど、今に合わせて自分たちの暮らしに上手く負ける発想を取り入れていきたいなと考えています。

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